「『返魂香之図』(円山応挙 画)」

青森県弘前市の「久渡寺(くどじ)」は、護国山の奥深くにたたずむ小さなお寺。ご利益のある、円山応挙の幽霊画を所蔵していることで有名です。

また久渡寺は、東北地方で広く信仰されながらも謎の多いミステリアスな神様、「オシラサマ」信仰の聖地でもあり、まさに知る人ぞ知るパワースポットなのです。

今回は青森県の久渡寺と、オシラサマ(オシラ講)について紹介します。

 

目次

  • 青森県「久渡寺」の歴史
  • 足のない幽霊を初めて描いた!円山応挙の幽霊画が久渡寺にある?
  • 久渡寺はオシラ講の聖地!謎の神様「オシラサマ」とは?
  • 青森県「久渡寺」へのアクセス

 

青森県「久渡寺」の歴史

 

(Photo by Wivernlink is licensed under CC BY-SA 4.0)

 

青森県弘前市の「久渡寺(くどじ)」は、真言宗智山派のお寺です。山号は護国山で、ご本尊は円仁(慈覚大師)の作とされる聖観音菩薩像(しょうかんのんぼさつ)。

 

そのルーツは奈良時代にまでさかのぼります。

征夷大将軍「坂上田村麻呂」が蝦夷征伐の際に建てた大量の寺院、「阿闍羅三千坊(あじゃらさんぜんぼう)」の1つ、「補陀洛寺(興国寺)」がそのはじまり。久渡寺と呼ばれるようになったのは1633年からです。

 

(Photo by umbrajp is licensed under CC BY-NC 2.0)

 

現在では「津軽三十三観音霊場」の第1番札所に指定されている他、「津軽真言五山」の1つにも数えられています。

 

足のない幽霊を初めて描いた!円山応挙の幽霊画が久渡寺にある?

 

(円山応挙 画『幽霊画(The Ghost of Oyuki)』カリフォルニア大学バークレー美術館所蔵(パブリック・ドメイン))

 

幽霊といえば足のない姿を思い浮かべる人が多いと思いますが、実は幽霊に足がないのは日本だけ。これは、江戸時代に「足のない幽霊画」が多く描かれたためと考えられています。

 

そんな足のない幽霊を初めて描いたとされるのが、円山応挙(まるやまおうきょ)という江戸時代中期を代表する絵師。青森県の久渡寺には、彼の描いた『返魂香之図(はんごんこうのず)』という幽霊画がまつられています。

 

円山応挙の幽霊画は、海外でも「The Ghost of Oyuki」という名で知られているほど評価が高いのですが……実は弟子による贋作(偽物)が非常に多いことでも有名。しかし久渡寺の幽霊画『返魂香之図』は、国内で唯一公的に真作と認められており、2021年には弘前市の有形文化財にも指定されました。

 

この幽霊画を公開すると雨が降るという言い伝えがあり、雨乞いのご利益があることでも有名です。ただしその公開は、円山応挙の妻の命日とされる旧暦5月18日の、わずか1時間の間のみ。
確実に見たいという方は、事前に調べてから行くことをおすすめします。

 


(久渡寺公式Instagramより)

 

ただし2021年8月には『返魂香之図』が有形文化財に指定されたことを記念して、幽霊画も特別公開されました。特別デザインの幽霊画御朱印帳も数量限定で頒布しています。
郵送対応もしているとのことですので、興味のある方は久渡寺へ直接お問い合わせ下さい。

 

久渡寺はオシラ講の聖地!謎の神様「オシラサマ」とは?

 

(Photo by z tanuki is licensed under CC BY 3.0)

 

オシラサマ(おしら様)は東北地方全域で古くから信仰されている神様で、その信仰を「オシラ講」といいます。

しかしオシラサマは『古事記』や『日本書紀』などの日本神話には登場しておらず、知名度のわりにルーツや正体がはっきりしていない謎の神様です。

 

そのミステリアスな出自と少し不気味なデザインから、神社仏閣好きやオカルト好きの間でひそかに人気を集めています。2001年には、宮崎駿監督の映画『千と千尋の神隠し』に登場したことでも有名になりました。

 


(遠野伝承園公式Instagramより)

 

青森県の久渡寺はオシラ講(王志羅講)の本山で、毎年5月15日・16日の大祭には、大勢の人々が参拝に訪れます。久遠寺のオシラサマは「久遠寺型」と呼ばれるほど別格の扱いを受けており、その習俗は国の無形民俗文化財にも指定されました。

 


(久渡寺公式Instagramより)

 

久渡寺では33年に一度、秘仏であるご本尊を開帳しています。
2021年4月19日~8月21日のご開帳では、書道アーティストの原愛梨さんとコラボした特別記念御朱印を頒布しました。

また2021年8月1日・8日には、科学実験番組で人気の「Mr.マサック」こと工藤貴正さんが科学実験を披露するなど、久渡寺では面白いイベントを随時行っています。興味のある方は公式サイトや公式Instagramをぜひチェックしてみてください。

 

青森県「久渡寺」へのアクセス

 

◆所在地
〒036-8244 青森県弘前市坂元山元1

◆電話番号:0172-88-1555(9:00~17:00)

◆アクセス
≪電車/バス≫
JR弘前駅から弘南バス久渡寺線で終点久渡寺下車(約40分)
≪車≫
弘前弘南鉄道大鰐線 千年駅から車で13分
※駐車場:久渡寺山門前駐車場20台、弘前市こどもの森駐車場50台(共に無料)

◆正式名称:護国山観音院久渡寺

◆参拝時間:9:00~16:30 (特別公開時は9:00~17:00)

◆拝観料:大人500円 中高生200円 小学生100円
※特別公開時は 大人600円 中高生300円 小学生100円

◆ご本尊/宗派:聖観音菩薩像/真言宗智山派

公式サイト:https://kudoji.com

(夏藤涼太/ライター)

Webライター/シナリオライター。

 

「日々にロマンを。毎日を豊かに。日常を非日常に」をテーマに、日本文化や歴史に神社仏閣、オカルトネタにサブカルチャー、シナリオライティングまで広く深く執筆しています。学生時代の専攻は民俗学。

 

◇twitter:@hondobo
◇blog:http://donotlife.blog.jp

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