
岡山県岡山市の「吉備津彦神社(きびつひこじんじゃ)」は、歴史の非常に古い神社。主祭神の「大吉備津彦命(おおきびつひこのみこと)」は、あの桃太郎のモデルともされています。
そのため吉備津彦神社のお守りや絵馬、おみくじはどれも桃をモチーフにしたかわいらしいデザインなのですが……実は桃には、古くから邪気をはらう力があると信じられてきました。
今回は魔除けや長寿のご利益がのぞめる桃だらけのパワースポット、岡山県の吉備津彦神社を紹介します。
目次
- 吉備津彦神社の歴史と主祭神
- 桃太郎のルーツ?吉備津彦神社の大吉備津彦命とは
- 桃で魔除けと長寿を願う!吉備津彦神社は桃のパワースポット
- 吉備津彦神社へのアクセス
吉備津彦神社の歴史と主祭神
岡山県岡山市には、古代より神の住まう山(神体山)として信仰されてきた「吉備の中山」があります。その吉備の中山のふもとに建てられたのが、「吉備津彦神社(きびつひこ)」です。
吉備津彦神社は、社伝によれば推古天皇の時代に創建されたといいますが、詳しいところははっきりしません。しかし平安時代には既に信仰されていた記録が残っていて、非常に歴史の古い神社であることがわかります。
主祭神は「大吉備津彦命(おおきびつひこのみこと)」。第7代孝霊天皇の第三皇子で、朝廷の命令によって吉備(岡山)を平定したことで知られます。
桃太郎のルーツ?吉備津彦神社の大吉備津彦命とは
桃から生まれた桃太郎が鬼を倒すという有名な日本昔話「桃太郎」は、大吉備津彦命の鬼退治伝説がモデルだとされています。
その昔、温羅(うら)という鬼が吉備の国にやってきて、子どもや女性を襲いました。そこで大吉備津彦命は、犬飼健(いぬかいたける)・楽々森彦(ささもりひこ)・留玉臣(とめたまおみ)という3人の家来と共に、「鬼ノ城」に住む温羅を退治したのです。
この伝説が「桃太郎」のモデルになったとされ、実際に吉備津彦神社の駐車場には、お供のイヌとキジ、サルを連れた桃太郎のオブジェが立っています。

“File:吉備津彦神社の桃太郎像.jpg”作者: 吉田尚史 is licensed under CC BY-SA 4.0
3人の家来と共に鬼を倒すという物語の枠組みは、たしかに「桃太郎」そっくりなのですが……大吉備津彦命の伝説には、大事な「桃」が登場しません。
桃太郎はなぜ桃から生まれたのでしょうか? そこには桃の知られざるパワーが関係しています。
桃で魔除けと長寿を願う!吉備津彦神社は桃のパワースポット
桃は古代中国では「仙果(神や仏に力を授ける果実)」と呼ばれ、邪気をはらう力があるとされてきました。
そのため日本でも、桃には不老長寿や魔除けの力があり、また1本の木に多くの実を付けることから、子宝に恵まれるというご利益もあると考えられました。ひな祭りに桃の花を飾るのはこのためです。

“倉敷 吉備津神社 吉備津彦神社”作者: Tony Tani is licensed under CC BY-NC-SA 2.0
日本神話『古事記』では、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が黄泉の国(死後の世界)から元の世界に帰る際に、黄泉津醜女(よもつしこめ)という鬼に襲われます。そこで伊邪那岐命は、3つの桃の実を投げて鬼を撃退するのです。
桃には「魔」や「邪気」の象徴である、鬼を退治する力があるとされました。ですから鬼を退治する桃太郎が、桃から生まれたのは当然なわけです。

“倉敷 吉備津神社 吉備津彦神社”作者: Tony Tani is licensed under CC BY-NC-SA 2.0
そこで吉備津彦神社では、お守りから絵馬、さらにはおみくじまで桃をモチーフにしています。これもただ見た目がかわいいだけでなく、魔除けや長寿、子宝のご利益あってのデザインなのですね。
桃の力で邪気をはらって健康を願いたい方は、ぜひ一度、桃だらけのパワースポット「吉備津彦神社」を訪れてみてはいかがでしょうか。
吉備津彦神社へのアクセス
◆所在地
〒701-1211 岡山市北区一宮1043
◆電話番号:086-284-0031
◆アクセス
≪電車/バス≫
JR岡山駅からJR桃太郎線 備前一宮駅下車 徒歩3分
≪車≫
・山陽自動車道、吉備SA内・スマートICから総社方面へ約3.5㎞。県道61号線~国道180号を右折、吉備津彦神社前交差点を左折。
・山陽自動車道 岡山ICから国道53号線を岡山市街方面へ約2㎞、津島京町の交差点を右折、180号線を総社方面へ3.5㎞、吉備津彦神社前交差点を左折。
・岡山自動車道 総社ICから国道180号線を岡山市街方面へ約8㎞、吉備津彦神社前交差点を右折。
※駐車場:約100台
◆参拝時間:午前6時~午後6時(境内・駐車場)
※正月等の催し物がある場合は変更あり
◆ご祭神
大吉備津彦命(おおきびつひこのみこと)
◆主な祭事:例祭、御田植祭、流鏑馬神事
公式サイト:https://www.kibitsuhiko.or.jp/index.html
(夏藤涼太/ライター)

Webライター/シナリオライター。
「日々にロマンを。毎日を豊かに。日常を非日常に」をテーマに、日本文化や歴史に神社仏閣、オカルトネタにサブカルチャー、シナリオライティングまで広く深く執筆しています。学生時代の専攻は民俗学。
◇twitter:@hondobo
◇blog:http://donotlife.blog.jp