日本の暦では、10月のことを「神無月(かんなづき・かみなづき・かむなづき)」と言いますね。
この由来の一説には、文字通り全国の神社から「神様がご不在になる月」という意味があるそうです。

しかし「神様がご不在になる」と言っても、どこにも居なくなってしまうということではありません。八百万の神々は、この月にある「神在祭」のために「出雲大社」に集まっておいでなのです。

私たちにとって身近な言葉で言い換えてみるとすると、「全国各地の神様が出雲に出張をされている」ということになるのかもしれません。
今回は、この「神無月」と、出雲における「神在月(かみありつき)」についてのお話。

——神社を愛するあまり巫女になり、神道の魅力を皆様にもお伝えしている巫女ライターが、神様たちの「神議(かむはかり=会議)」についてご紹介させていただきます。

 

目次

    • 神様たちも会議をする!?
    • 議題は人々の「縁結び」について
    • 神様たちが集まる「出雲大社」とは?
    • 出雲大社の「神在祭」について
    • 出雲以外の神社は神様がお留守?
    • 人々の幸せを一生懸命考えてくださる神様たち

     

    神様たちも会議をする!?

     

     

    人間の世界でも、多くの人が一堂に会して話し合いをすることによって、アイディアを出し合ったり物事を決めたりしていますよね。
    そんな「会議」と言うべきものが、神様たちの間でも、年に一度行われているのをご存知でしょうか?
    これを、神様の会議――「神議」と書いて「かむはかり」と言います。

    神様はどんなことについて、お顔を合わせて「ああでもない、こうでもない……」と話し合いをされているのかといえば、なんと「ご縁結び」の相談をされているのだとか!
    全国各地の神々が集い、「あの人とこの人のご縁を結ぶと良いのではなかろうか?」「この人にはこんな出会いが必要なのだけれど、どこかに相応しい人はいないだろうか?」などと、会議しているのだそう……。

     

    議題は人々の「縁結び」について

     

     

    たしかに、私たち人間は実際の「努力」「行動」はできたとしても、目に見えない「ご縁を結ぶ力」というものはありません。それらは、目に見えない存在の方々が働きかけて、私たち一人ひとりのために結んでくださっています。

    人と人との出会いというものは、「思いがけない偶然」とも言いたくなるような「神懸った不思議な必然」のご縁に、気づかぬうちに導かれていたという人も多いですからね。

     

     

    (※紺野うみ撮影)

    「縁結び」と聞くと「恋愛」や「結婚」の話だけと思われる方も多いのですが、「ご縁」の形はそればかりではありません。
    お仕事に関するご縁や、家族・友人とのご縁、必要な物事とのご縁も、そのひとつだと言えます。

    つまり、この世にある素敵な出会いという出会いは、もしかするとこの「神議」によって決められているのかもしれません。
    それでは、その会議はなぜ「出雲」で行われるようになったのでしょうか?

     

    神様たちが集まる「出雲大社」とは?

     

     

    島根県の出雲には、ご存知の方も多い「出雲大社(いずもおおやしろ)」という立派なお社があります。
    こちらには「大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)」という神様が、主祭神としてお祀りされています。

    「古事記」や「日本書紀」など、日本の神話の中にも頻繁に登場する大国主大神は、七福神のひとり「だいこくさま(大国様・大黒天)」の名前でも広く親しまれています。
    その他にも多くの神名や御神徳があるのですが、中でも「縁結びの神様」としてはとても有名ですね。

    そして、日本の国土を開拓された「国造りの神様」であるとともに、その国を天照大御神(あまてらすおおみかみ)様にお還しになったことから「国譲りの神様」としても知られています。
    その大業を喜ばれた天照大御神は、大国主大神に「目に見えない世界を司り、そこに働く結びの力によって人々の幸福を導いてください」と命じられ、この出雲大社に鎮座されることになりました。

     

     

    その大国主大神がおわします出雲大社で、八百万の神々は毎年集まり、縁結びなどの神事について会議をするようになったというわけですね。
    出雲大社には、この時のために神々のお宿となる「十九社(じゅうくしゃ)」というお社もあるので、足を運ばれた際にはぜひこちらも拝してみてください。

     

    出雲大社の「神在祭」について

     

     

    「神在祭」の行われる日は、旧暦の10月――つまり、現代の新暦で言えば11月の末頃。(※旧暦なので、毎年日付は変化します)

    旧暦の10月10日夜に「神迎神事・神迎祭」として全国の神々をお迎えし、翌日から7日間かけて「神在祭」が斎行されます。
    この期間中は、「龍蛇神講大祭」「神在祭」「縁結大祭」「神等去出祭」「夜神楽」など、連日さまざまな神事が執り行われ、毎年多くの人が出雲大社に集まります。

    2020年は新型コロナウイルス感染拡大防止によって、祭事ごとに神職のみで行う奉仕や、参列の制限をする場合もあるようです。
    参拝を考えていらっしゃる方は、あらかじめ出雲大社の公式サイトで、しっかりと予定を確認してみてくださいね。

     

    出雲以外の神社は神様がお留守?

     

     

    それはそうと、八百万の神々が出雲に出かけてしまうということは、それ以外の地域の神社には神様がお留守になってしまうのかな……と、心配になった方もいらっしゃるかもしれません。

    実は、神様には「天津神(あまつかみ)」と「国津神(くにつかみ)」という分け方があります。天照大御神をはじめとする高天原という天界に住む神様は「天津神」で、大国主大神をはじめとする地上に住む神様は「国津神」です。

    そして出雲に集まるのは、このうちの「国津神」であるとされている説があるのです。
    「天津神」である伊勢神宮の神様・天照大御神や、恵比寿神(えびすしん)などをはじめとする「留守神様」という方々が、各地の神社の留守を守ってくださっているのだとか。

    そのため、「神社に神様が居なくなってしまうなんて大変だ!」と慌てなくても大丈夫。きっと神様にも、役割分担のようなものがあるのでしょうね。
    この期間であっても、身近な神社には、ぜひ足を運んでいただければと思います。

     

    人々の幸せを一生懸命考えてくださる神様たち

     

     

    (※紺野うみ撮影)

    「神無月」や「神在月」について知れば知るほど、神様たちがいかに、この世界の安寧や人々の幸せを想ってくださっているかが窺い知れるような気がします。

    世の中が明るく発展し、誰もが必要な出会いを通じて人生の学びを得て、幸せに生きてゆけるように……。神様たちはいつだって、私たちの知らぬところで、たくさんの人の「縁」を見極めては結んでくださっているのです。

    せっかく結んでいただいた「ご縁」の巡り合わせに応えられるよう、私たちの側にも「心の準備」と「チャンスを掴む行動力」が必要です。

    どんなご縁にも、きっと「理由」はあります。
    私たちは、自分と結ばれたご縁について一つひとつを丁寧に受け止めて、自らの人生の糧や良いきっかけに変えてゆく心づもりが大切なのではないでしょうか。

    いただいた「ご縁」を余すところなく活かすためにも、今年も出雲で行われるに違いない素敵な「神事」について、覚えておいてくださいね!

     

    平日はフリーライター、休日に巫女としてご奉仕。
    神社・神道・生き方・心理学・自己分析・心について記事を執筆。
    すべての人が前向きに、自分らしく生きるために大切なことを伝えている。
    巫女ライターとしては、「書くこと」を通じて神様へのご奉仕を形にすべく、神道・神社・神様の心の本質を伝えることを使命とする。

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