あなたも人生の中で、「自分の気分をリセットしたいな」とか、「また新しい気持ちでがんばりたい」といった想いを抱くことがあるのではないでしょうか。
いつの間にか、日々をなんとなく流されるように過ごしてしまって、「どこかでその流れを一新したい!」と考えることは、誰にでもあるものだと思います。

そして神社には、半年に一度、その「心と体の切り替え」を行うことができる「夏越の大祓(なごしのおおはらえ)」という神事があることをご存知でしょうか?
今回は、全国各地の神社で行われるこの祭祀について、知っておきたいお話をまとめました。

——神社を愛するあまり巫女になり、神道の魅力を皆様にもお伝えしている巫女ライターが、「夏越の大祓」の過ごし方と物語についてご紹介します。

目次

  • 「夏越の大祓」とはどんな行事?
  • 茅の輪(ちのわ)くぐり
  • 茅の輪のくぐり方
  • 茅の輪の起源
  • 人形(ひとがた)流し・お焚き上げ
  • 神社で心身のお清めをしましょう!

「夏越の大祓」とはどんな行事?

 


 

「大祓」というのは、人の心身の「罪穢れ」を祓い清めることで、降りかかる災厄を退ける神事を言います。
では、そもそも「罪穢れ」というのは、一体どのようなものなのでしょうか?

「罪」とは、人が意識的・無意識的を問わずやってしまう、「善くない行為」を指します。誰かを困らせたり迷惑をかけたりすることや、自分勝手な振る舞いをして何かを傷つけること……。
これらとまったく無縁で生きてきたと断言できる人なんて、きっとこの世にはいないことでしょう。

そして「穢れ」とは、「気が枯れる」と書いて「気枯れ」であるともされています。
これは、自分の気持ちが落ち込んでネガティブな感情に包まれてしまうことや、病や死に触れることで元気が失われてしまうこと……。
まるで心に靄(もや)がかかってしまったように、自分の道を見失いやすい状態だと言えますね。
 

 

ですから「大祓」とは、そのように人が生きる中でいつの間にか犯してしまった「罪」や、その身や心に背負ってしまった「穢れ」を、神様の御力を借りて綺麗に祓い清めるための祭祀なのです。
これは年に2回、6月30日と12月31日に神社で行われているのですが、近年では6月に行われる「夏越の大祓」が、より盛んに広まっています。

その他の名称としては、「名越(なごし)」「六月(みなつき)祓」「荒和(あらにご)の祓」などと呼ばれることもあるようです。かつては、旧暦の6月晦日(みそか=最終日)に行われていましたが、現代では新暦の同日に行われることがほとんど。

神社で伝統的に継承されてきたさまざまな風習を体験しながら、現代風に言うなれば「心と体のデトックス」ができる、素晴らしい行事なのです!
では、この日には神社で、実際にどのようなことが行われているのでしょうか?

 

茅の輪(ちのわ)くぐり

 


 

この「夏越の大祓」を前に、神社には6月頃から夏越の大祓当日(長いところで7月頃)までの間、境内に「茅の輪」というものが設置されます。
これは「茅(ちがや)」という草を束ねて作られた大きな輪っかで、人がくぐれるくらいの大きさをしているもの。
参拝者は本殿を参拝する前に、この輪をくぐることで、罪穢れと災厄を祓うことができるとされています。

茅の輪のくぐり方

 

くぐり方には一般的に、次のようなルールがあります。

① 茅の輪の手前で一礼をして、左回りに1度くぐって再び正面へ。
② もう一度茅の輪の前で一礼をし、今度は右回りに1度くぐって正面へ。
③ さらに、茅の輪の前で一礼。再び、左回りに1度くぐって正面へ。
④ 一礼してから最後に茅の輪をくぐり、そのまま御神前へ。
⑤ 御本殿の神様に、お詣りをしましょう。
 

 

神社によっては、くぐりながら次のような和歌を唱えるとよいとされています。
中でも代表的な三首を、ご紹介しておきますね。

  • 『水無月の夏越の祓する人は 千歳の命延ぶと言ふなり』
    (6月に夏越の祓をする人は、寿命が長く延びると言われています)
  • 『思ふこと皆尽きねとて麻の葉を 切りに切りても祓へつるかな』
    (心の悩みごとがみんな無くなるようにと、麻の葉を切ってお祓いをしました)
  • 『宮川の清き流れに禊せば 祈れることの叶わぬはなし』
    (御神域の清らかな川で禊をすれば、祈り願うことが叶わないことはありません)

また、「略拝詞(りゃくはいし)」という短い祝詞を唱える場合もあります。

  • 『祓へ給へ、清め給へ、守り給へ、幸へ給へ』

 

推奨される細かい形は違っていたとしても、根本の目的はどの神社でも同じです。
茅の輪をくぐってから心を込めて参拝することで、きっと心も体もスッキリと軽やかな気持ちになれるはずですよ!

 

茅の輪の起源

 


 

「茅の輪」の由来は、日本に伝わる「蘇民将来(そみんしょうらい)」という伝承から来ています。その物語についても、簡単にご紹介しましょう。

昔「須佐之男命(すさのおのみこと)」という、災いを退ける強い力を持つ神様が旅をしていて、ある村にやってきました。
その村には、お金持ちの「巨旦将来(こたんしょうらい)」と、貧しい「蘇民将来」という兄弟が暮らしていたのだそうです。

夜になったので宿を借りようと思った神様は、まず兄の巨旦将来のところに行って泊めてもらえないかとお願いしましたが、巨旦将来は相手を神様とはつゆ知らず、それを嫌がり断ってしまいます。
しかし、次に向かった弟の蘇民将来は、快く宿を貸すことを了承し、貧しいながらも心を込めて神様をもてなしたのだそう。

やがて時は過ぎ、彼らの子孫が暮らすその村には、疫病が猛威を振るっていました。
神様は以前に恩を受けた蘇民将来の子孫を助けてあげようと、「蘇民将来の子孫は、家の門に茅の輪をつけて名乗り出なさい」と言って、その子孫を疫病から救ってあげました。

 

この物語を由縁に「茅の輪」は全国の神社に広まり、「蘇民将来」にあやかって茅の輪をくぐることで、災いや病を退けることができるという文化として定着したのです。

2020年はあの疫病に多くの人の命が脅かされてきましたから、「疫病退散」を願って神社に訪れる人も後を絶ちません。ぜひ、この茅の輪くぐりで悪いものを祓って、神様に祈りを届けてみてくださいね。

 

人形(ひとがた)流し・お焚き上げ

 


 

心身の罪穢れを祓う方法として、もうひとつ有名なのが「人形(ひとがた)」を用いたもの。
これは、神社で用意されている「人形・形代(かたしろ)」という人の形を模した紙に、自分の名前と生年月日と年齢などを書きます。
そして、その「人形」で自分の体(特に調子のよくない部分)を撫で、最後に3回ゆっくりと息を吹きかけましょう。

こうすると、自分の心身についていた罪穢れを「人形」に移すことができます。
神職がこれを「大祓式」の中で川に流したり、海水で清めたり、お焚き上げをしたりして浄化してくれるのです。

この「人形」は、6月30日よりも以前から受け付けていることがほとんどで、多くの神社が郵送などでも対応を行っていますので、問い合わせてみてくださいね。

 

神社で心身のお清めをしましょう!

 


 

神社が大好きな方は、普段から神様に会いに行くことで、気持ちの切り替えを意識的に行っているということも多いでしょう。
でも、さらにこのような「半年に一度」の神事があることで、忘れることなくきちんと自分の穢れを落とすことができると思うと、健やかに生きていくありがたい機会になりますね。

今年は世界中で新型のウイルスが猛威を振るい、多くの人が不安な日々を過ごしてきたことでしょう。
まだまだ油断のならない状況ではありますが、ぜひその不安や恐怖も含めて、神様のもとでデトックスしてみませんか?

神社でも人が集まり感染が広がることを避けるため、2020年は多くの祭祀が一般の参列を行わないものに転じるなどの対応を取っています。夏越の大祓も例に漏れず、6月30日当日は神職のみで神事を行う神社が多いでしょう。
あらかじめお近くの神社に確認したうえで、例えば大祓当日でないときに茅の輪くぐりをしたり、事前にご自身やご家族の人形を預けておいたりすることもオススメします。

どのような形であっても、皆様の心は変わらずいつも神様と一緒に在り続けますように、ひとりの巫女としてもお祈りしております。どうか、よい半年の締めくくりをお過ごしくださいね!

 

平日はフリーライター、休日に巫女としてご奉仕。
神社・神道・生き方・心理学・自己分析・心について記事を執筆。
すべての人が前向きに、自分らしく生きるために大切なことを伝えている。
巫女ライターとしては、「書くこと」を通じて神様へのご奉仕を形にすべく、神道・神社・神様の心の本質を伝えることを使命とする。

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