「八百万(やおよろず)の神々」という言葉は、日本人なら恐らく、少なからず耳にしたことがあるのではないでしょうか。
日本古来の宗教・文化である「神道」の、最大の特徴と言ってもいいのは「多神教」であるということ。
つまり、神様は決して「絶対的なひとり」ではない、という考え方なのです。

この国では各地の神社で、数えきれないほどの種類の神様がお祀りされています。
ただ、その神様方の種類も、大きくいくつかの種類に分類して考えることができると言えるでしょう。
せっかく神社に足を運ぶなら、その神社にお祀りされている神様について、少しずつ知識を増やしてみませんか?

——神社を愛するあまり巫女になり、神道の魅力を皆様にもお伝えしている巫女ライターが、日本における八百万の神々たちの種類についてご紹介したいと思います。

目次

  • 日本の神様にはどんな種類があるの?
  1. 神話に登場する神様たち
  2. 稲荷・八幡の神様
  3. 自然神・生活神
  4. 偉人・怨霊信仰の神様
  5. 土地古来の神様・外国から来た神様
  • 「神様」と言ってもいろいろ

日本の神様にはどんな種類があるの?

 

神社でお祀りされている神様には、さまざまな由来があります。
信仰の出自によって、それらはある程度分類しまとめていくことが可能なのですが、今回は5つのパターンに分けてご紹介していきたいと思います。

1. 神話に登場する神様たち

 


 

日本の神話と言えば、もちろん「古事記(こじき)」と「日本書紀(にほんしょき)」です。
ここに登場する神々は、あまりにも有名で私たちにとって身近な存在から、名前以外の情報が詳しく記されていないような存在もあります。

その中でも、日本の国の祖神(おやがみ)であり、最高神として伊勢神宮にお祀りされている「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」や、その産みの親にあたり日本の国を生んだとされる「伊邪那岐命(いざなぎのみこと)」と「伊邪那美命(いざなみのみこと)」などは、特に有名ですよね。

神話の中には多くの神々たちが、それぞれの御神徳(神様の持っている特技のお力)を活かしながら活躍するような場面も描かれていて、それらのエピソードを元に神社でも「○○の神様」としてお祀りをされていることが多いです。

たとえば、「縁結びの神様」「財福の神様」「知恵の神様」「医療の神様」など……。
神社に行くと、そのような枕詞がついていたりしますが、それはその神様に「得意としている分野」があるからなのです。

2.  稲荷・八幡の神様

 


 

「稲荷神社」と「八幡神社」——この二つの名前も、「神社と言えばよく耳にするな」と感じる方が多いはず。
稲の精霊を神格化した存在である「稲荷神」は、「稲が生る」という言葉が転じて「稲生り→稲荷」になったとも言われています。
「お稲荷さん」と聞くと真っ先に「狐(キツネ)」がイメージされるかもしれませんが、それは稲荷神である「宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)」の御眷属(ごけんぞく=神様の御遣い)が狐だからです。
きっと稲荷神社の境内では、「狛犬」ならぬ「狛狐」を見かけることでしょう。
日本の食を支える「お米」を中心とした食の守護神や、生活全般を支える諸産業発展・商売繁盛の神様としても、日本で一位の分祀数があるほど厚い民間信仰を受け継いでいます。

また「八幡神」とは、「応神天皇(おうじんてんのう)」や「誉田別命(ほんだわけのみこと)」といった別名がある、文武の神様。
武家の守護神として、源氏の氏神としても崇められたことからその威信が各地に広がり、その社は稲荷神社に次いで多い数だと言われています。
戦後は平和な世の中になり、その信仰が更に生活全般の守護にも広がっていきました。
成功・勝利だけでなく、教育や交通安全、災難除け、さらには母神である「神功皇后(じんぐうこうごう)」と共にお祀りされることで、縁結び・子宝・安産・子育ての神様としても親しまれるようになっています。

全国各地に数多く社があり、多くの人が根強く信仰してきたと言えるのが、この二柱の神様です。

3. 自然神・生活神

 


 

八百万の神々というのは、そもそも「この世界のあらゆるものに、神様が宿っている」という信仰のもと生まれた言葉。
たとえば、海には海の神様、山には山の神様、水には水の神様がいらっしゃり、私たち人間はその存在から「恩恵」を授かっているのだから、決して自然への感謝を忘れてはいけない、という考えがあったわけです。

このように、自然のものを御神体として崇めお祀りする存在のことは、「自然神」と言います。
神社では、大樹が御神木として、大岩が神聖なものとして注連縄(しめなわ)で守られているのを見かけることも多いですよね。
それらも、「自然信仰」のひとつと言えます。

また、人々の生活に密接している神様——たとえば「かまどの神様」や「御手洗いの神様」なども、火や水という私たちの生活には欠かせない営みを司る神様です。
台所や御手洗いにも、御札をお祀りしているご家庭もあるはずですが、それは家庭における生活を、神様に守っていただくための文化なのです。

4. 偉人・怨霊信仰の神様

 


 

私たちと同じ「人間」だった人が、亡くなってから「神様」として崇められたり恐れられたりして、「人神様」としてお祀りされるということもあります。

例えば「菅原道真」「平将門」「徳川家康」「安倍晴明」「吉田松陰」などは、日本の歴史上でも特に馴染み深い人物ですよね。
人が神様として祀られるようになる経緯は、もちろんさまざまな由来が存在します。

有名なのは「菅原道真」や「平将門」を筆頭に、元々「怨霊鎮め」のためにお祀りされてきたものが、「学問の神様」や「除災厄除の神様」としても名高くなったというケースです。
人々が怨霊の祟りや呪いを恐れ、その魂を鎮めるために神格化をした人物たちなのですが、今ではその存在の素晴らしい側面を挙げて、その御神徳を仰ぐようにも転じています。
「天神様」として有名な「菅原道真」は、受験を控えた学生さんたちにとって、大切な心の支えにもなっていますね。

それ以外にも、歴史上立派な功績を上げた偉人や、人徳のあった人をお祀りする形の「偉人信仰」も、その人物ゆかりの地を中心に定着しています。

⑤ 土地古来の神様・外国から来た神様

 


 

多神教である神道の基本的な考えに、さまざまな神様が「共存」できる懐の広さがあります。
たとえば、日本の中でもその土地で古くから独自に信仰されていた神様や、外国から伝来してきて定着した神様も、日本では(一部の時代に政治的な理由で行われた「神仏分離」を除いて)「これは神様ではありません」と乱暴に否定しません。

これまでにご紹介してきたような、全国的に有名になった神様ばかりではありません。
各地域で古来から大切にされてきた「○○大権現」など、土着の神様も大切に神社でお祀りしています。

また、日本でも人気の高い「七福神」という七人の神様は、日本の神様だけでなく、ヒンズー教や仏教や道教をルーツとした神仏が、見事なほどに混ざり合っています。
一神教の価値観では、多くの神々が共存することはありませんが、このように日本の国では「神道」という基本の考えが根付いているため、他を排除するという感覚が存在しないのですね。

「神様」と言ってもいろいろ

 

こうやって見ていくと、日本における「神様」という存在には、本当にさまざまな種類があるのだとわかりますよね。

これからは、ぜひどこかの神社に足を運んだときに、そこにお祀りされている「御祭神(ごさいじん)」にも注目してみてください。
神様はどんなお名前で、どのような御神徳がある、どんな方なのか……。
そこまで考え理解した上でお詣りをすれば、きっとあなたの祈りもより神様に届くでしょうし、ありがたみも深く感じることができるでしょう。

少しずつでも神様について知り、想いを馳せてみることで、きっとますます神社に行くことが楽しくなるはずですよ!

平日はフリーライター、休日に巫女としてご奉仕。
神社・神道・生き方・心理学・自己分析・心について記事を執筆。
すべての人が前向きに、自分らしく生きるために大切なことを伝えている。
巫女ライターとしては、「書くこと」を通じて神様へのご奉仕を形にすべく、神道・神社・神様の心の本質を伝えることを使命とする。

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