一人ひとりが別の人生を生きている私たちですが、その心と世界を繋ぐ手段・ツールのひとつは「言葉」です。
まして、今のように直接的に人と顔を合わせられない時間が続くときは、電話でもメールでも手紙でも、特にこの「言葉の力」が大切になりますよね。

さらに言えば、目には見えない「自分の心」の内側を形にしようとするときも、「言葉」がそれを叶えてくれる……。
つまり、自分自身の中でも「曖昧な姿」をしていた想いを、言葉ははっきりと手に取ることができるものに変えてくれる力も持っているというわけです。

言葉の持つ力は「言霊(ことだま)」と言って、古来より神道的な信仰のひとつになってきました。いわゆる、「言霊信仰」と呼ばれるものです。

——神社を愛するあまり巫女になり、神道の魅力を皆様にもお伝えしている巫女ライターが、言葉が持つ力の大切さを教えてくれる「言霊信仰」について、お伝えしたいと思います。

目次

  • 「言霊」ってどんなもの?
  • 日本人が大切にしてきた「忌詞」
  • 言霊でお清めができる「略祓詞」
  • 言葉は美しい心から、心は美しい言葉から
  • 素敵な言葉で人生を作ろう!

 

「言霊」ってどんなもの?

 


 

あらゆるものに神様という「霊的な存在」が宿るという価値観によって、「八百万の神々」を信仰する、日本の宗教・文化である「神道」。
これは、私たちがコミュニケーションに使っている「言葉」においても、例外ではありません。
言葉の中にも、それぞれ「霊力」が宿っていて、その力は私たちが言葉を唱えることによって発揮されています。

たとえば、人の悪口やネガティブな言葉ばかりを口にしていれば、それが自らの心やそれを受け取った相手の心を蝕み、負の影響を残していく……。
反対にいつでも人を励まし、明るく希望に満ちた言葉を多用している人は、自分自身はもちろん周囲の人の心まで、温かく照らす力を持っています。

もし言葉が目に見えるものであったなら、あなたが発しているそれは、どんな姿かたちをしているでしょうか?
簡単に口にできてしまうものだからこそ、その「言葉に宿った魂の姿」を想像してみることが、「言霊信仰」の入り口であるように思えてなりません。

日本人が大切にしてきた「忌詞」

 


 

この「言霊」を意識した文化は、たとえば、「忌詞(いみことば)」というものに現れています。

すべての神社の最上位として君臨する伊勢神宮においては、「死」や「病」という言葉も穢れを呼ぶという理由から、「奈保留(なおる)」や「夜須美(やすみ)」などと言いかえる文化が生まれました。

一般的な世界でも、結婚式などの慶事では、「断」「切」などの別れを連想させるような言葉を避けたりしますよね。お葬式などの弔事では、これ以上の不幸が重なることがないように重ね言葉を避けたりもします。
こういったことも、「言霊」の力を意識して、長く継承されてきた慣習のひとつ。

「縁起の良い言葉」「縁起の悪い言葉」は、言葉の魂を大切にしてきた日本人にとって、かなり慎重に扱ってきた文化なのだと言えるでしょう。

言霊でお清めができる「略祓詞」

 


 

神社では、神職が神様に何かをお伝えするとき、「祝詞(のりと)」という言葉を使っています。もちろん、あの言葉にも「大きな言霊の力」が宿っていると言われています。
そして特に「祓詞(はらえことば)」や「大祓詞(おおはらえことば)」などには、罪穢れや善くないものを祓い清める力があります。

これらは、いわゆる「言霊の力」を使った「お清め」のようなもの。
長いものだと覚えるのにも苦労するでしょうが、「略祓詞(りゃくはらえことば)」という短い祝詞があるのをご存知でしょうか?
神社で、その言葉を見かけたことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。

ここでご紹介しますので、よろしければ覚えてみてください。
とても短いですが、力のある「言霊」のひとつです。

祓へ給へ、清め給へ (はらえたまえ、きよめたまえ)

たとえば、ネガティブな気持ちをリセットさせたいときや、嫌な感覚を抱いたときの御守りとしても唱えてみていただければと思います。

言葉は美しい心から、心は美しい言葉から

 


 

昨今はSNSやブログなど、インターネット上における「発信」のツールが発達し続けています。
匿名でも言葉を発し主張を届けるハードルが下がり、それを交わし合う相手の数も、桁違いに増えていると言えるでしょう。
個人が自分の言葉を「気軽に発する」という土壌が、すでにできあがっているわけです。
でも、「簡単にできるから、雑になっていいか」というと、決してそうではないですよね。

「自分の言葉なんて自由だし、誰に文句を言われる筋合いはないじゃないか」と思う人が多いかもしれません。
でも、言葉は人を救う薬にもなれば、人を傷つける毒にもなってしまうもの。
たとえ画面上における視覚的な言葉であっても、そこにもさまざまな目には見えない力が宿っていることを忘れてはいけないと思うのです。

他人とのコミュニケーションにおいて、清らかで美しい言葉や、明るく前向きな言葉を使うことは、人を幸せにする力を持っています。
素敵な言葉は「美しい心」から生まれるものですが、逆に言えば、美しい言葉も「素敵な心」を育ててくれるものです。

口にするもの、書いているもの、打ち込んでいるもの……。
改めて、自分がどんな言葉を使っているかを振り返ってみてください。

素敵な言葉で人生を作ろう!

 


 

何気ない言葉や挨拶の交し合いでも、幸福の種を蒔いてゆくことはできます。
「ありがとう」「ごめんなさい」「いただきます」「ごちそうさま」「いってきます」「いってらっしゃい」「ただいま」「おかえり」「気を付けてね」「大丈夫だよ」「がんばって」「お疲れさま」「おかげさまです」

人を思いやり、発する「言霊」。
自分自身を大切に、発する「言霊」。
それらは、必ず多くの心を守り、育て、導いてくれるでしょう。

あなたもたくさんの「善い言霊」を使って、大切な人たちと共に、幸せな人生を送ってくださいね。

平日はフリーライター、休日に巫女としてご奉仕。
神社・神道・生き方・心理学・自己分析・心について記事を執筆。
すべての人が前向きに、自分らしく生きるために大切なことを伝えている。
巫女ライターとしては、「書くこと」を通じて神様へのご奉仕を形にすべく、神道・神社・神様の心の本質を伝えることを使命とする。

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