皆様のご自宅には、「神棚」がありますか?

神社についての興味を深め、やがて巫女になった私ですが、あるとき引っ越しをきっかけに、いよいよ念願だった神棚をお祀りするようになりました。
そしてほどなくして「神棚って、やっぱりすごい」——と、心からその意味を実感したんです。

昨今は「パワースポット」という言葉が、多くのメディアから届いてくるようになりました。しかし、言わば「家庭の中の小さな神社」である「神棚」こそ、本当は自分の暮らしの一番そばに生み出すことができる、大切な「パワースポット(心の拠点)」になるものなのだと言えるかもしれません。

 

——神社を愛するあまり巫女になり、神道の魅力を皆様にもお伝えしている巫女ライターが、家庭のまつりである「神棚」のいろはをお伝えします。

 

なぜ、神棚をお祀りするの?

神棚がある家と聞くとなんとなく、ものすごく由緒正しい立派な家だったり、神棚も代々受け継がれたりしているのでは……と想像している方もいるかもしれません。
自宅に神棚がない人にとっては、きちんとしたお祀りの仕方もわからないし、管理できるかも自信がないから、ちょっと手が出しづらいと仰る方も多いです。

ですが、私自身が神社に足繁く通うようになってからは、よく思ったものでした。——もっと身近に神社があれば、いつでもお詣りができて神様を感じることができる気がするのに……と。
そして、ハッと気がついたのです。それこそが、私たちが自宅で「神棚」をお祀りする理由なのだということに。

当たり前のように思える何気ない日常も、数えきれないほどの神様たちの恩恵の上に成り立っています。私たちの暮らしの中に「神棚」の存在があれば、あらゆることに感謝を忘れず、毎日を清々しい気持ちで生きてゆけるのです。
そして、そんなひとつの家族の暮らしを、一番近い場所で見守ってくださるのが「神棚」にお祀りしている神様だということですね。

神棚は、神様の「依り代(よりしろ)」となる場所。つまり、お住まいのひとつです。
私たちの人生、そして日常にとって大切な「家庭」という場所を神様に守っていただき、そのありがたい存在を中心に、家族が心をひとつにしてゆくことができる。

——それが「家庭のまつり」である、「神棚」だということですね。

「神棚を置くのは大変なこと」だと思っていませんか?

神様に失礼がないようにと考えると、自宅の一角に神棚をしつらえて、毎日欠かさずお祀りをするというのはハードルが高いと感じてしまいがちかもしれません。
それに、一軒家でなくマンション住まいの方が増えた近年では、スペース的な問題があるなどして、立派な神棚は準備できないということもあります。

ですが、「神棚」の文化で最も重要なのは、「日々の暮らしを神様とともに過ごす」ということ。目に見えない存在を畏れ敬い、感謝をするところにあります。つまり、大切なのは私たちの「心」なのです。

たとえ、神社と同じようなお供え物や、毎日完璧なお詣りができなくても、その心が神様から離れることがなければ大丈夫です。
逆に「〇〇しなくてはならない」と形だけにとらわれ、頭でっかちになりすぎて、心を込めたお詣りができなくなってしまうのはよくありません。

これからお伝えする「神棚」のお作法は、正式に言えばさまざまなお約束事があるのですが、それぞれの方のご事情や住環境によっては、それらがうまく実現できないこともあるかもしれません。
昨今は、そんな現代社会の事情やニーズに応えた、省スペースでモダンなデザインの神棚なども続々と生まれているようです。

もし神棚を準備することが難しい場合でも、壁やタンスや棚の上などをきれいに整え、神札(御札)をお祀りする形でも大丈夫。
それぞれのご家庭に無理のない形で、神様をお家にお招きして、日々の暮らしを見守っていただけたらと思います。

神棚をお祀りする場所はどこがいいの?

神棚をしつらえる場所は、基本的にそのご家庭の中心となる部屋が望ましいです。
「中心」というのは、家族の誰もが集う場所である、リビングなどが好ましいかもしれません。明るく清らかで、誰もがお詣りしやすい場所を選ぶとよいでしょう。

神棚の位置と向きに決まりはあるの?

神棚の望ましい位置は、まず「神様を見下ろすことがないよう」に、大人の目線よりも高い場所を考えます。その場所をきれいに清めて(掃除をして)、できれば下に半紙や白い布を敷き、その上に神棚や御札立てなどを準備しましょう。
スペース的な問題で壁に御札をお祀りする場合は、神札に直接針を刺したり穴をあけるようなことがないように、気を付けてくださいね。

さらに、神棚には望ましい「向き」もあります。
御札が、「南側」か「東側」を向くようにしましょう。つまり、神棚の向きは、部屋の「北側」か「西側」を背にする形で配置します。

反対に避けるべきポイントになるのは、神棚の下に通路があったり、上階があり神棚の上を人が歩いたりすることです。マンションなどで上に階があり、やむを得ない場合は、神棚の上の天井に「雲」と書いた紙を貼り、神様の上を天上とする方法があります。


壁紙に貼っても安心な粘着剤付き
神棚・神具『雲』切り文字

どの神社の御札をお祀りすればいいの?

神棚にお祀りする御札には、次のような種類があります。

① 伊勢神宮の神札(神宮大麻)……日本の最高神であり太陽を象徴する神様、天照大御神(あまてらすおおみかみ)様の御札で、全国各地の神社で手に入ります。

② 氏神(うじがみ)神社様の神札……自分の暮らす地域を守護してくださる神様の御札なので、それぞれの家の近くにある氏神神社でお受けしていただきます。

③ 崇敬(すうけい)神社様の神札……個人的にご縁があったり、信仰している神社の神様の御札なので、各神社へ足を運んだ際にお受けしてきてお祀りします。(例:挙式を挙げた神社、勤務先の氏神神社、大好きな神社など、複数あって構いません)

御札の並べ方はどうすればいいの?

神棚について少し調べていただけると、その形は非常にさまざまなものがあるとお気づきになるはず。

扉がひとつの形は「一社造(いっしゃづくり)」、三つの扉が並んでいる形は「三社造(さんしゃづくり)」と言います。多くはこの二種類なのですが、御札を並べる際は上記の①~③の神札に正式な順序があります。
まさしく①~③の順で上位から下位となるので、一社造の場合は手前から①~③の順で重ねてお納めします。三社造の場合は、中央に①、向かって右に②、左に③という並びでお祀りしてください。

どのような神器があるの?

神棚は、どのような形のものを選ぶかによって、付随するものが変わってくる場合がありますが、ひとつずつどのような神器(しんき)があるのかをご紹介していきたいと思います。

  • 注連縄(しめなわ)
    聖域(神様が宿る神聖な場所)を区切るための印である、「紙垂(しで)」を垂らす縄で、神棚の上部に取り付けます。縄には太い方と細い方があり、向かって右が太い方で、左が細い方にします。紙垂は四垂(よだれ=四枚垂らすもの)が一般的です。
  • 鏡(かがみ)
    浄明の印であり、神様の眼差しと穢れなき誠の心を表すものです。神様に向かって手を合わせるとき、その鏡に自分の心が映し出されるのを感じてみてください。曇りの無いように、きれいに保ちましょう。
  • 榊(さかき)
    木へんに神、と書いて榊。古くから「神様の宿る木」とされ、また「栄える木」という繁栄の意味や、「境の木」という聖域と俗界を隔てる結界の意味もあります。こちらを飾る場合は、枯れる前に新調するようにしましょう。
  • 灯明(とうみょう)
    清浄の火の力で、照らし清める意味があります。炎にも、神聖な神様のお力が宿るとされています。もちろん、灯明を使ってお祈りをする場合は、火の取り扱いに気を付けてくださいね。

何をお供えしたらいいの?

神様へ捧げる食事のことは、「神饌(しんせん)」と言います。神職の方が常駐する神社では、毎日神様へ神饌をお供えする神事を行っています。
そして神様にお供えした後のものは「御下がり」と言って、神職や氏子で神様のお力が宿ったものを棄てずにいただくのが基本です。

神社と同じようにお祀りをするのはなかなか難しいという方でも、できる範囲でお供えをしていただくと、日々の食事に対するありがたさも感じられるはず。
毎朝は難しくても、例えば毎月1日と15日などの節目や、週に1度などといったルールを決めて、基本の3品である「米(ご飯)・塩・水」をお供えしてみてはいかがでしょうか。

並べ方の順序は、御神前に向かって左から「水・米・塩」の順です。私はわかりやすいので「み・こ・し」と覚えています。
ちなみに、日本酒もお供えする場合は、水と米の間にひとつ、米と塩の間にひとつと二か所に並べるか、水と米の間にひとつ並べます。

家族にとって大切な日やお正月などの節目では、旬の野菜や果物、四季の初物などもお供えをしてからいただきましょう。
自然(神様)の恵みによって生かされている私たちですから、その感謝をお伝えする機会は大切にしたいものです。

ちなみに私は、人からいただいた贈り物やお土産などは、「こんな素敵なものをいただきました」と神様にご報告をしてから、御下がりをいただくようにしています。
そうすると、人からものをいただくことのありがたさが身に染みて感じられますし、一つひとつのご縁に対して神様へ感謝する機会になるのも嬉しい瞬間です。

御札はいつまでお祀りするの?


御札も御守りも同じことが言えますが、いずれも新調するタイミングは一年間が目安です。一年間身近で私たちを見守ってくださった御札には、神社へお納めすると同時に神様にお礼をお伝えしましょう。

本来はお受けした神社にお戻しするのが一番ですが、旅先で受けてきた御札や御守りは、一年でお納めできないこともあるでしょう。お近くの古札納め所がある神社様にお焚き上げをしていただくこともできますし、もうしばらく大切に持っておくこともできます。

ただし、長く大切にする場合は、存在を忘れて粗末に扱うことだけはないように気を付けてくださいね。

神棚にお詣りするときは?

神棚とは、家庭の中の小さな神社であるとお話ししましたが、神社への参拝同様に心身を整えてからお詣りをしましょう。
参拝の方法は、神社での形と同じく、原則「二拝・二拍手・一拝」です。

まずは一日のはじまりに、神棚へと手を合わせてみましょう。朝起きて手や顔を洗い、口をすすいだら、身だしなみを整えてから神棚の神様へとご挨拶をします。
今日も家族が元気に過ごせる感謝と、その日にがんばることの宣言をしたり、見守っていただけるようにお祈りをしたりします。

朝だけでなく、一日の終わりにも「本日もありがとうございました」とお伝えするだけで、どんなに辛いことがあっても気持ちを切り替え、「また、明日もがんばろう」と思えるようになってきます。

家庭で育む「目に見えない存在」への畏敬と感謝の心

私が「神棚って、やっぱりすごい」と思ったのは、家庭に神棚という存在があるだけで、より神様のことを身近に感じ、「いつも見守っていただけている」という心強さが胸の中に芽生えるからです。

自分だけではありません。ご家族のいらっしゃる方は、家族全員の健やかな日々を祈ることで、お互いを大切にする気持ちも育ちます。お子さんがおられる場合は、その祈りの習慣と姿を子どもたちに見せることで、ごく自然に「目に見えない存在」への畏敬の念や感謝の心を伝えてゆくことができます。

一日のはじめとおわりに神様と心を通わせて、一日一日を大切に過ごすこと。——それが、ごく自然なこととして浸透してゆくのが、「神棚」という場所を通じた家庭のまつりなのです。

 

私たちが、心も体も健やかに生きてゆく習慣へとつながる、神棚。あなたも、ぜひ神様をお家にお迎えしてはいかがでしょうか?


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平日はフリーライター、休日に巫女としてご奉仕。
神社・神道・生き方・心理学・自己分析・心について記事を執筆。
すべての人が前向きに、自分らしく生きるために大切なことを伝えている。
巫女ライターとしては、「書くこと」を通じて神様へのご奉仕を形にすべく、神道・神社・神様の心の本質を伝えることを使命とする。

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